大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は肛門から内視鏡を挿入し、大腸の最深部(盲腸)まで内視鏡を進め、カメラを抜きながら大腸の表面粘膜を観察します。この内視鏡の先端には、小型の高感度電子カメラが取り付けられており、さまざまな大腸の病気の発見に役立ちます。
近年、食生活の欧米化により、日本人にも大腸がんが急増しています。大腸がんの早期には症状の無い場合が多く、発見が遅れる場合が少なくありません。大腸がんについては、早期発見(大腸がんになる前のポリープのうちに切除すること)により、大腸がんによって命を落とす可能性を低くする事が可能です。
検査時間は15分~20分程度です。下痢、便秘、血便、腹満感などの症状がある方や、健診で便潜血陽性を指摘された方は積極的な大腸内視鏡検査をお勧めします。症状がない場合でも、40歳を過ぎた方はポリープや大腸がんのリスクが上昇するため定期的な検査をお勧めします。日帰り大腸ポリープ切除も可能です。
大腸内視鏡検査を行うには大腸を空っぽにする必要があります。
検査前日
朝から消化に良いものを召し上がってください。もしくはセットになった特別食をお召し上がりください。19時以降は食事を取らないでください(お茶や水、清涼飲料水等は可です)。以後寝るまでの間水分をなるべくたくさん飲んでいただき、寝る前に指示された下剤を内服して下さい。普段のお薬は通常通り内服してください。
検査当日
朝食は食べないでください。普段のお薬は朝8時までに内服してください(糖尿病薬や血をさらさらにする薬は調整が必要な場合がありますので事前に医師と相談します)。その後朝8時頃から下剤(腸管洗浄液)を飲んでいただき2-3時間後に排便がはじまります。その後便がほぼ透明になれば準備完了です。
お昼12時半頃に来院頂きます。
検査自体の所要時間は20分程度です(多少変動があります)
鎮痛剤や鎮静剤を投与するため右腕から点滴を始めます。
ベッド上で左側臥位で寝ていただきます。
肛門にゼリー状の麻酔薬を塗って内視鏡を挿入していきます。大腸に空気を入れ、広げながら観察します。内視鏡を挿入する際に腸の中に空気を入れることによっておなかが張ったり、大腸が引き伸ばされて痛みを感じることがありますが、その場合は遠慮なく医師、看護師にお声かけください。鎮痛薬、鎮静薬の投与を行います。
精査を要する病変があれば粘膜の一部を少量かじりとって生検(病理組織検査)を行う場合があります。
ポリープがあった場合、サイズが小さいものであればスネア(金属の輪)をかけて切除します(詳細は以下)。
大腸ポリープには①癌、②癌になる可能性のあるもの、③癌になる可能性のないポリープがあります。
③は切除の必要がなく、主に②に対して治療の必要を行います。切除可能と判断した場合はその場で切除を施行します。①の可能性が高い場合やサイズが大きなものや切除不能と判断した場合は観察や組織検査のみで終了することがあります。ただし内視鏡診断が難しい病変については診断を目的とした治療となることもあります。
当院ではコールドポリペクトミーという切除方式を用います。従来は通電し熱を加えて焼灼しポリープを切除する方法がとられておりましたが、コールドポリペクトミーは通電せず熱を加えず物理的絞扼で切除する方法です。通電式の切除法と比較して出血、穿孔のリスクが少ないといわれています。
病変の根本に金属の輪(スネア)をかけます。
スネアの輪をしめます。
そのまま切除します。
治療1~2週間までは偶発症の危険があり、血圧が上がるような事(長時間の入浴、激しい運動など)や腹圧がかかるようなこと(排便時のいきみ)は避け、刺激物、アルコールの摂取は避けてください。
大腸カメラの費用(概算)
※健康保険3割負担の場合
大腸ポリープ切除に関しては内視鏡手術になります。
いわゆる日帰り手術に該当しますので、該当する民間保険に加入している場合は診断書をご提出ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
検査の方は、鎮痛剤や鎮静剤を使用しますので、車やバイクでの来院は御遠慮下さい。